ごあいさつ

マイクロ法人など小さい会社の税務を得意としている税理士法人加美税理士事務所の税理士 川畑英之と申します。
こちらのウェブページにお越しいただき誠にありがとうございます。

税理士法人加美税理士事務所では、フルリモートでの法人および個人のお客様の税務申告などを承っています。

料金・費用もお安めに設定させていただいています。

ご興味がおありでしたら、是非お気軽にお問い合わせください。

ミニマム法人・マイクロ法人のイメージ

マイクロ法人の顧問税理士を承ります

当事務所では、マイクロ法人など小さい会社の税務顧問を承っています。また、顧問契約は結ばずに年一決算のみという対応も可能です。

法人設立をサポート
法人設立をサポート

会社設立もサポート

これからミニマム法人・マイクロ法人を設立されるお客様のサポートも承ります。提携している司法書士事務所の協力により相場より安い費用で会社を設立できることもあります。

マイクロ法人のメリット

ミニマム法人・マイクロ法人のメリット

ミニマム法人・マイクロ法人を設立するとどのようなメリットがあるのかについて、いくつかのケースごとにご紹介しています。

日本全国に対応

日本全国&海外に対応

フルリモートにつき、日本全国どちらのお客様でも対応可能です。海外在住のお客様にもご愛顧いただいています。(日本法人の日本国内における決算申告を承っています。)

確定申告のイメージ画像

所得税の確定申告も承ります

フリーランス・個人事業主及び副業・兼業の収入があるお客様の所得税の確定申告も承ります。税理士に直接会わずとも申告ができるサービスを実現しています。

面談も完全リモート

Webミーティングに対応

面談もWeb会議システムにて承ります。アプリやアカウントは不要です。初回無料相談もリモートで対応可能です。ご要望があれば直接お会いすることもできます。

ウェブサイトの作成もサポート

Webサイト作成もサポート

こちらのサイトくらいシンプルな内容のWebサイトであれば格安で構築を支援します。初期費用のみでランニングコストは頂戴しないため安心していただけます。

【法人または個人のお客様】お問い合せ窓口080−7630-0099受付時間 10:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]

メールでのお問い合わせ

料金体系

税理士法人加美税理士事務所の税理士川畑英之と申します。

料金体系は次のとおりです。
サービスごとに標準的な料金・費用を記載しています。
会計ソフトで記帳されているお客様は下記の金額からさらにお値引きいたします。
弥生会計をご使用されているお客様は特に優遇させていただいています。

個人の方


※すべて税抜金額で表示しています。

【年一決算のみ】法人の決算費用

・法人税等(法人税、法人住民税、法人事業税)
法人税等売上高
1000万円以下1000万円超2000万円超
2000万円以下
年一決算報酬150,000円180,000円200,000円〜
・消費税

弥生会計で記帳されているお客様は下記の金額からさらにお値引きいたします。

消費税納税額(還付額)
100万円以下100万円超
簡易課税30,000円40,000円〜
原則課税一括比例配分40,000円50,000円〜
全額控除40,000円50,000円〜
個別対応50,000円60,000円〜
還付申告60,000円70,000円〜

消費税の課税事業者に該当する場合は消費税の申告も必要です。
年間の売上高が1000万円を超える法人は、将来的に課税事業者になる可能性があります
収入が例年1000万円以下の場合は消費税の申告は不要です。
つまり、上記の消費税の料金も発生しません。


オプション料金

一定の場合にはその他の税務イベントが発生します。
その際は、別途オプションをお申込みいただくことができます。

当該オプション料金・費用についてはこちらのページをご覧ください。

【顧問契約あり】法人の顧問費用および決算費用

・法人税等(法人税、法人住民税、法人事業税)
法人税等売上高
1000万円以下1000万円超2000万円超
2000万円以下
顧問報酬月額10,000円12,000円15,000円〜
①年額換算120,000円144,000円180,000円〜
②決算報酬60,000円60,000円60,000円〜
基本報酬額①+②180,000円204,000円240,000円〜

上記が基本的な費用額です。
ただし、会計ソフトをお使いでないお客様については、領収書や請求書などの証憑の数が多い場合は下記の料金を別途加算させていただきます。

証憑の処理件数による加算額証憑の処理件数
500件以下500件超
1件当たりの加算額0円100円

こちらの処理件数は、補助簿をお客様ご自身でご作成いただく場合は大幅に抑えることができます
例えば100枚のレシートを1枚の補助簿にまとめたときは、その処理件数は1件となります。
大した手間ではないため、領収書などが多い方にはこちらの方法をおすすめしています。
補助簿の作成方法については必要なタイミングで別途ご案内差し上げます。


・消費税

弥生会計で記帳されているお客様は下記の金額からさらにお値引きいたします。

消費税納税額(還付額)
100万円以下100万円超
簡易課税30,000円40,000円〜
原則課税一括比例配分40,000円50,000円〜
全額控除40,000円50,000円〜
個別対応50,000円60,000円〜
還付申告60,000円70,000円〜

消費税の課税事業者に該当する場合は消費税の申告も必要です。
年間の売上高が1000万円を超える法人は、将来的に課税事業者になる可能性があります
収入が例年1000万円以下の場合は消費税の申告は不要です。
つまり、上記の消費税の料金も発生しません。


オプション料金

一定の場合にはその他の税務イベントが発生します。
その際は、別途オプションをお申込みいただくことができます。

当該オプション料金・費用についてはこちらのページをご覧ください。


法人設立費用

法人設立費用 
合同会社約13万円
株式会社約28万円

法人設立サポートを適用した場合はもっと安く済むことがあります。

個人の確定申告費用

・所得税

基本的には、従量制です。
例外として金額の規模によっても変動する場合があります。
(例:事業所得、不動産所得、雑所得、譲渡所得)

所得税 
基本料金30,000円
給与所得(2ヵ所目以降がある場合)2,000円/1件
事業所得60,000円~
雑所得30,000円~
不動産所得60,000円~
一時所得都度見積り
譲渡所得都度見積り
配当所得都度見積り
利子所得都度見積り

・消費税
消費税納税額(還付額)
100万円以下100万円超
簡易課税30,000円40,000円〜
原則課税一括比例配分40,000円50,000円〜
全額控除40,000円50,000円〜
個別対応50,000円60,000円〜
還付申告60,000円70,000円〜

消費税の課税事業者に該当する場合は消費税の申告も必要です。
年間の売上高が1000万円を超える方は、将来的に課税事業者になる可能性があります
事業収入が例年1000万円以下の場合は消費税の申告は不要です。
つまり、上記の消費税の料金も発生しません。

お問い合わせから申告までの流れ

青字の項目は税理士の担当です。

お問い合わせ
お電話、メール、Chatworkのいずれかでお問い合わせください。
※営業時間外の場合はメールかChatworkでお問い合わせいただきますようお願いします。
Webミーティングの日程調整&参考資料のご送付
Webミーティングの日程を調整します。
また、過年度の確定申告書や帳簿、定款、登記簿謄本など必要となるものを事前にデータ又は郵送でお送りいただきます。
Webミーティング(初回無料相談)
事業の内容、税務トピック、経理状況をお聞きして、作業ボリューム及び料金を見積もります。
また、税理士とお客様のそれぞれにおいて担当すべき作業を明確に整理します。
契約書のご締結&着手金のお振込み
契約書をお送りします。
内容に問題がなければご署名ご捺印のうえご返送していただきます。
※契約書は書面、電子のどちらでも対応可能です。(電子契約の方が圧倒的に早いです。)

法人設立に関する届出書一式を提出するなど一定の場合は、併せて着手金を当方の口座にお振込みいただくことがございます。
資料データのご格納(or 紙でのご郵送)
資料データをクラウドストレージにご格納いただきます。
または紙のままご郵送いただきます。
帳簿作成(帳簿が必要なお客様のみ)
お送りいただいた資料に基づいて当方で帳簿を作成していきます。
不明な点があればメールやChatworkでご連絡させていただきます。
決算のご承認(帳簿が必要なお客様のみ)
帳簿が完成すると決算書も完成します。
決算書の内容に問題がなければご承認していただきます。
内容については、Webミーティングまたは文面でご説明を申し上げます。
確定申告書の作成
(ご承認いただいた決算書に基づいて)当方で確定申告書を作成します。
確定申告書のご承認
確定申告書の内容に問題がなければご承認していただきます。
電子申告
当方で確定申告書を電子申告にて提出します。
税金のご納付
電子納付または納付書による窓口での納付をしていただきます。

電子納付の場合→電子納付情報を当方からお知らせします。
窓口納付の場合→納付書を当方から郵送します。
決算報酬のお振込み
決算報酬を当方の口座にお振込みいただきます。
成果物の納品
確定申告書一式、決算書(※)、総勘定元帳(※)をデータでご送信します。
※帳簿が必要なお客様のみ

【法人または個人のお客様】お問い合せ窓口080−7630-0099受付時間 10:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]

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【初心者向け】マイクロ法人設立で節税するには?税理士が徹底解説

マイクロ法人の設立は、個人事業主やフリーランスの方にとって効果的な節税手段となり得ます。特に、所得税や社会保険料の負担が増えてきた方にとって、法人化による節税は魅力的です。

マイクロ法人とは、主に一人または家族など少人数で運営される小規模法人のことで、合同会社や株式会社の形態を問わず設立できます。売上や利益が一定以上になると、個人の所得税率が法人税率を上回るため、法人化によって税率を低く抑えることが可能になります。

ただし、マイクロ法人の設立・運用には注意点もあります。法人住民税の均等割(赤字でも発生する税)や、社会保険の取り扱い、帳簿付けや決算申告などの会計業務が新たに必要となります。このような実務面をスムーズに進めるためにも、税理士のサポートは非常に有効です。

この記事では、マイクロ法人の基本から節税の具体的ポイントまでを、税理士の視点でわかりやすく解説していきます。法人化を検討中の事業者様は、ぜひ参考にしてください。

マイクロ法人とは?基本概念と特徴

マイクロ法人とは、1人または家族など少人数で運営される小規模な法人を指します。一般的には、代表者自身が業務の大半を担い、従業員を雇わずに運営するケースが多いのが特徴です。法人形態としては、設立費用が抑えられる合同会社(LLC)を選ぶ方が多く、運営も比較的シンプルです。

マイクロ法人の最大の特徴は、「事業規模は小さいが、法人としての税制メリットを享受できる」点にあります。法人化することで、所得税と法人税の税率差を活かした節税が可能となり、さらに社会保険料の最適化も見込めます。

加えて、法人にすることで経費計上の範囲が広がり、個人よりも柔軟な資金運用が可能となります。たとえば、法人名義のクレジットカードや銀行口座を使った取引管理や、マネーフォワードやfreeeといったクラウド会計ソフトとの連携によって、会計処理の効率化も実現できます。

一方で、法人化には法人登記や各種届出、帳簿付けや決算・法人税申告などの手間が伴います。こうした運営面を税理士に任せることで、本業に集中できるのもマイクロ法人が選ばれる理由の一つです。

マイクロ法人設立のメリットとデメリット

マイクロ法人を設立することには、多くの節税効果や経営上の利点がある一方で、運営面での負担も発生します。以下に、税理士の視点から代表的なメリットとデメリットを整理します。

メリット

1. 所得税対策になる

個人事業主として一定以上の利益が出ている場合、累進課税によって高い所得税率が適用されます。これに対して、法人税率は一定の水準で抑えられており、利益を法人に分散させることで節税が可能です。

2. 社会保険料の最適化が図れる

役員報酬を調整することで、社会保険料負担をコントロールできます。たとえば、年金受給を見越した役員報酬の最適設計など、社保とのバランスを図る手法も有効です。

3. 経費として認められる範囲が広がる

法人化によって、会議費、出張費、通信費、交際費など幅広い支出が法人経費として計上可能になります。

4. 信用力の向上

法人名義で契約することにより、法人銀行口座の開設、法人クレジットカードの取得、取引先からの信用向上などにつながります。

デメリット

1. 設立コストと維持費がかかる

定款の作成や法人登記費用、設立後の法人住民税(均等割)など、初期コストと固定費が発生します。また、顧問税理士への報酬や会計ソフトの利用料も考慮すべきです。

2. 社会保険の強制加入リスク

法人化により、代表者1人でも原則として厚生年金・健康保険に加入が必要です。適切な役員報酬設計を行わないと、保険料負担が増加します。

3. 手続き・事務負担の増加

税務署への届出、帳簿作成、年1回の決算・法人税申告など、煩雑な事務手続きが発生します。会計ソフトや税理士の活用が不可欠です。

マイクロ法人設立は、戦略的に行えば大きな節税効果を得られる一方で、十分な準備と運用体制が求められます。自身の収益状況や将来の展望を踏まえた上で判断することが重要です。

節税効果を最大化するためのポイント

マイクロ法人を設立することで節税を図る場合、単に法人化するだけでは不十分です。税務の知識と戦略的な設計があってこそ、節税効果を最大限に活かすことができます。ここでは、税理士の視点から押さえておくべきポイントをご紹介します。

1. 役員報酬の適切な設定

役員報酬は、法人の経費として損金算入できる一方で、個人の所得税や社会保険料に影響します。報酬が高すぎると個人の税負担が増え、低すぎると法人に利益が残りすぎて法人税が増加します。適切なバランスを税理士と相談のうえ設計することが重要です。

2. 社会保険料の最適化

マイクロ法人の強みの一つが、社会保険料のコントロールです。年金の受給要件や扶養の範囲も考慮しつつ、最小限の報酬で保険料負担を抑える方法もあります。たとえば、年収130万円未満に設定して家族を扶養内に入れることで、保険料を節約する戦略もあります。

3. 経費の適正な計上

法人では個人事業よりも幅広い支出が経費として認められるため、正確な経費処理が節税に直結します。会議費、出張費、交際費などは適切な証憑を保存し、電子帳簿保存法に対応した形で記帳することが求められます。

4. 利益分散による所得分散

たとえば、家族を従業員や役員にすることで、報酬として利益を分散させる手法もあります。これにより、家族全体としての所得税負担を抑えることが可能です。これは「利益の分散」と呼ばれる節税手段の一つで、税務署にも認められている正当な方法です。

5. 税理士との継続的な顧問契約

節税のタイミングや金額は年度によって変動します。最新の税制改正やインボイス制度などに対応するためにも、顧問税理士との連携は不可欠です。税理士による経費の見直し、決算対策、節税スキームの提案を受けることで、継続的な最適化が実現します。

節税効果は、一時的ではなく、継続的な運用と見直しによって育てていくものです。税務リスクを避けながらも、合法的に節税を実現するためには、専門家の力を借りながら運用することが最も確実な方法です。

マイクロ法人を活用した節税スキームと注意点【税務調査対策も】

ここでは、マイクロ法人を活かした節税対策と気を付けなければならないポイントについて紹介します。これらの注意点に気を配ることが税務調査対策へと直結します。

マイクロ法人を利用した具体的な節税スキーム

マイクロ法人を活用した節税スキームは、税制のルールを順守しつつ、合法的に税負担を軽減する方法です。ここでは、実際に活用されている代表的なスキームをご紹介します。

1. 二重構造スキーム(給与分散)

個人事業主としての活動を継続しつつ、マイクロ法人から一定額の役員報酬を受け取る構造です。個人と法人で所得を分散させることで、両者の税率が抑えられます。

たとえば、個人事業主として売上を得つつ、マイクロ法人で外注契約や著作権譲渡契約を結び、法人から役員報酬を支払うことで、所得を合理的に分散できます。

2. 退職金の活用

法人では、役員に対して退職金を支給することができます。退職所得は所得控除が大きく、税負担が軽減されるため、長期的な節税効果を期待できます。ただし、金額の妥当性や支給条件の整備が必要です。

3. 経費計上の幅を活かす

個人事業では経費にできなかった支出も、法人であれば業務関連性が認められる範囲で経費化が可能です。例えば、自宅の一部を事務所として利用する場合の家賃按分、スマートフォンやインターネット代の一部などが挙げられます。

4. 役員報酬の戦略的設定

社会保険料の負担や扶養控除との兼ね合いを考慮し、役員報酬を低く設定することで、法人の損金計上と個人負担の最適化が可能です。報酬額は定期同額である必要があるため、期首にしっかりと設計することが肝心です。

5. 家族を従業員または役員にする

家族へ給与や役員報酬を支払うことで、所得分散が図れます。ただし、実態が伴わないと「名義貸し」と見なされるため、業務内容や勤怠管理、支払いの根拠を明確にしておく必要があります。

これらの節税スキームは、いずれも税務調査でチェックされるポイントでもあります。実行にあたっては、必ず税理士と相談のうえ、正当性・合理性を持って運用しましょう。

税務調査で指摘されやすいポイントとその対策

マイクロ法人は規模が小さい分、税務署から「節税目的の法人ではないか」と見られやすい傾向があります。税務調査では、法人と個人の区分、経費の適正性、報酬や契約の実態などが重点的に確認されます。ここでは、マイクロ法人が特に注意すべき税務調査のポイントとその対策を解説します。

1. 実態のない取引(名ばかり法人)の疑い

法人が実質的に活動していない場合、「節税だけを目的とした法人」と判断される可能性があります。業務実態の証拠(契約書、請求書、業務報告書など)を整備しておくことが対策になります。

2. 経費の私的流用

法人名義での支出が、実は個人利用だったというケースは税務調査で非常に多く指摘されます。プライベートと業務の線引きを明確にし、出金理由や領収書の整理を徹底しましょう。マネーフォワードやfreeeなどの会計ソフトを活用すると、仕訳や記録が残りやすくなります。

3. 役員報酬が市場水準から大きく乖離

著しく低い役員報酬は、社会保険料回避と見なされる場合があります。逆に高すぎる報酬は、法人の損金性を否認される可能性もあるため、市場相場や就業実態と合致した報酬設計が重要です。

4. 家族への給与支払い

家族を従業員として雇用する場合、その勤務実態が問われます。労働時間の記録、業務内容、給与の支払い実績などを明確にしておくことで、指摘リスクを回避できます。

5. 源泉徴収・法定調書の漏れ

外部への報酬や士業への支払いについて源泉徴収義務があるにもかかわらず、対応が漏れているケースがあります。特に税理士・弁護士・デザイナー等に報酬を支払う場合は、源泉徴収の対象か確認し、適切な処理を行いましょう。

税務調査でのトラブルを未然に防ぐには、形式上だけでなく「実態」を伴う法人運営が不可欠です。月次の会計処理や帳簿の整備、証憑の管理といった日々の積み重ねが、調査リスクの低減につながります。税理士と定期的に連携し、万全の体制を整えましょう。

節税と脱税の境界線を理解する

マイクロ法人を活用した節税は、税制のルールを正しく理解した上で実行すれば、完全に合法です。しかし、行き過ぎた節税は「脱税」と判断され、追徴課税や重加算税、場合によっては刑事罰の対象となることもあります。ここでは、節税と脱税の違いやその境界線について、税理士の視点で解説します。

節税とは

節税とは、現行の法律に従って、合法的に税負担を減らす行為です。たとえば、経費の適正な計上、役員報酬の調整、所得分散、退職金制度の活用などは、すべて正当な節税手段です。

脱税とは

脱税とは、意図的に所得を隠したり、架空経費を計上するなど、違法な手段によって納税額を不当に減らす行為です。領収書の偽造、売上の除外、架空人件費の計上などは、明確な脱税に該当します。

節税と脱税のグレーゾーン

以下のようなケースは、税務署から指摘されやすい「グレーゾーン」にあたります。

  • 実態のない業務委託や役員報酬の支払い
  • 家族への過大な給与
  • プライベート利用の経費化
  • 税務リスクの高いスキームの安易な流用(ネット情報など)

これらは、形式的には節税に見えても、実態が伴っていなければ否認される可能性があります。

適正な節税のためのポイント

  1. 証拠を整えること:契約書、請求書、支払記録、業務日報などをきちんと保存しましょう。
  2. 税理士に相談すること:専門家と連携し、最新の税制や実務に基づいた運用を心がけましょう。
  3. 継続的なモニタリング:節税の効果やリスクは年ごとに変動します。年次決算ごとに見直しが必要です。

節税と脱税の境界線は、紙一重であることも多く、意図せずに脱税と判断されるリスクもあります。自社の状況に合った節税を行うためには、税理士との継続的な顧問契約が、最も確実かつ安全な方法です。

マイクロ法人と社会保険の関係|社保の最適化とリスクを税理士が解説

マイクロ法人化は節税だけではなく、社会保険にも影響を及ぼします。ここでは、社会保険料を低く抑えつつも、その保障をしっかり享受するために必要な情報についてご紹介します。

マイクロ法人設立による社会保険料の影響

マイクロ法人を設立する際、多くの事業者様が気にされるのが「社会保険料の負担」です。個人事業主と法人では、社会保険制度の適用範囲が異なり、保険料の算定方法も変わります。本記事では、マイクロ法人設立によって生じる社会保険料の変化とその背景について解説します。

法人化による強制加入の原則

法人の代表者(取締役)は、たとえ一人法人であっても原則として「厚生年金保険」と「健康保険」に加入義務があります。これにより、個人事業時代の「国民年金・国民健康保険」から、「会社負担と個人負担に分かれた厚生年金・健康保険」へ切り替わることになります。

社会保険料の増減の比較

区分個人事業主マイクロ法人(役員)
年金国民年金(月額定額)厚生年金(報酬比例)
健康保険国民健康保険(所得連動)協会けんぽまたは健康保険組合(報酬比例)

法人化すると、役員報酬に基づいて保険料が決定されるため、報酬額によっては保険料負担が大きくなるケースもあります。

保険料を最適化するために

マイクロ法人では、報酬額を低く設定することで社会保険料の負担を抑える戦略が可能です。たとえば、年収をあえて130万円未満に抑え、配偶者の扶養に入るといった方法も考えられます。

ただし、保険料が安くなる一方で、将来受け取れる年金額や傷病手当金などの給付額が減る点には注意が必要です。節税と将来保障のバランスを踏まえた上で、慎重に設計しましょう。

社会保険の負担は法人経営に大きく影響します。単なる負担ととらえず、節税と将来設計の観点から、税理士や社会保険労務士と連携して最適な報酬設計を行うことが重要です。

社会保険料を最適化するための具体的手法

マイクロ法人を設立した際に大きな関心事となるのが「社会保険料の負担」です。法人の代表者は厚生年金・健康保険への加入が原則ですが、その保険料は「役員報酬」に応じて決定されます。ここでは、社会保険料の負担を合法的かつ効果的に軽減するための具体的な手法をご紹介します。

1. 役員報酬の金額を調整する

役員報酬は社会保険料の計算基礎となるため、報酬を必要最低限に抑えることで保険料も削減できます。たとえば、月額報酬を88,000円未満に設定することで、社会保険の適用除外にできるケースもあります(ただし、実務には注意点あり)。

2. 配偶者の扶養に入る

代表者自身の年収が130万円未満であれば、配偶者が厚生年金加入者の場合、その扶養に入ることで自身の保険料負担をゼロにすることも可能です。ただし、事業規模や税務上の整合性も考慮する必要があります。

3. 報酬外収入を活用する

たとえば法人から報酬を受け取らず、退職金や貸付金の返済、配当金など、報酬とはみなされない形で収入を得る方法もあります。ただし、これらは専門的な設計と税理士の助言が必要です。

4. 法人で社保に加入しないという選択肢

現実には、法人であっても社会保険に未加入のケースがあります。ただし、これは原則違反であり、年金事務所からの調査や遡及加入を命じられるリスクがあります。したがって、「社保に加入しない」ことを前提とした節税は避けるべきです。

5. 社会保険労務士との連携

税理士とともに、社会保険の専門家である社会保険労務士(社労士)と連携することで、より制度に即した最適化が可能になります。扶養の範囲や保険料の等級設定、年金の受給なども視野に入れた戦略的な設計が求められます。

社会保険料の最適化は、単なる「節約」ではなく、法令を遵守しながらキャッシュフローを健全に保つための重要な手段です。税理士や社労士と相談し、貴社に最適な方法を選択しましょう。

社会保険未加入のリスクとその回避策

マイクロ法人を設立した際、特に注意が必要なのが「社会保険の未加入問題」です。一人法人や家族経営の法人であっても、法人格を持つ以上、原則として社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生します。ここでは、社会保険に未加入であることのリスクと、その回避策について詳しく解説します。

社会保険未加入の主なリスク

1. 遡及加入による高額請求

日本年金機構や年金事務所による調査が入った場合、最大2年分の保険料をさかのぼって請求されることがあります。保険料は法人・個人双方で負担するため、数十万円〜百万円超の請求になることもあります。

2. 罰則・行政指導

悪質と判断されれば、行政指導や報告徴収命令の対象になる可能性があります。未加入のまま放置していると、法人の社会的信用にも関わります。

3. 労災・雇用保険との連携不備

法人が社会保険に加入していないと、労災保険・雇用保険の加入資格や給付に影響することがあります。従業員を雇った場合、トラブルの原因にもなります。

よくある誤解

  • 「代表者一人だけだから加入しなくてよい」→ × 不正確。法人の代表者は原則として厚生年金・健康保険の適用対象です。
  • 「報酬をゼロにすれば加入しなくてよい」→ △ 報酬ゼロでも実態に応じて加入を求められる可能性があります。

回避策と実務対応

1. 設立時から適正に加入する

法人登記後すぐに「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「被保険者資格取得届」を提出し、適切に加入手続きを行いましょう。

2. 報酬設定と実態整備

役員報酬の金額や支払い方法、勤務実態を明確にしておくことで、社会保険の適用判定や指摘時の説明に役立ちます。

3. 社労士や税理士への相談

制度への正確な理解と、適切な届出・保険料シミュレーションのためには、専門家のサポートが有効です。

マイクロ法人にとって社会保険料は確かに大きなコストとなりますが、未加入リスクはその比ではありません。信頼性ある法人運営のためにも、社会保険の適正な管理は欠かせません。

法人化すべきタイミングとは?税理士が語る損益ラインと注意点

マイクロ法人の設立を検討される事業者様にとって、法人化のタイミングは将来の経営を左右する重要な判断ポイントです。税理士として数多くのご相談を受ける中で実感するのは、「節税できるかどうか」だけでなく、「法人化後の税務・会計業務を適切に運用できる体制が整っているか」も見極める必要があるという点です。法人になることで記帳方法や決算・申告手続きが複雑化するため、税理士の専門的なサポートが不可欠となります。

加美税理士事務所では、法人化を検討中の方々に対し、事前シミュレーションから設立後の税務支援まで一貫して対応しております。

法人化を検討すべき収益ラインとその根拠

個人事業主からマイクロ法人へ移行するかどうかは、節税効果や社会保険料負担、事務コストなどを総合的に判断する必要があります。その中でも最も多く寄せられるのが「どのくらいの収益があれば法人化すべきか?」というご質問です。ここでは、法人化を検討すべき収益ラインの目安とその根拠を税理士の視点から解説します。

一般的な法人化の収益目安

結論から言えば、年間売上が800万円〜1,000万円、または年間所得(利益)が500万円前後を超える場合、法人化を検討する価値が出てきます。

このラインを超えると、個人事業主の所得税・住民税・国民健康保険料の合計負担率が急激に高くなり、法人税+役員報酬による所得分散による節税効果が大きくなるためです。

所得税と法人税の比較

区分個人事業主マイクロ法人
所得税累進課税(最大45%)法人税率 約15〜23%程度
社会保険国民健康保険+国民年金(所得連動)協会けんぽ+厚生年金(報酬比例)

つまり、個人で高所得を得ている場合ほど、法人化による税率差の恩恵が大きくなります。

その他の判断材料

  • 経費の幅を広げたい
  • 退職金制度を活用したい
  • 家族を役員・従業員にして所得分散したい
  • 信用力を上げたい(法人名義の契約が必要)
  • インボイス制度の登録事業者になりたい

こうしたニーズがある場合にも、法人化は大きなメリットをもたらします。

売上や利益がある一定ラインに達した場合、法人化を検討することは非常に有効です。ただし、社会保険の加入義務や法人住民税などの固定費も発生するため、必ず税理士とシミュレーションを行い、損益分岐点を確認してから判断することをおすすめします。

法人化のタイミングを見極めるためのチェックポイント

マイクロ法人を設立する「タイミング」は、節税効果や社会保険料負担、手続きの煩雑さを考慮するうえで非常に重要な要素です。適切なタイミングを逃すと、思ったような節税効果が得られない、手続きが煩雑になるといった問題が生じることもあります。ここでは、法人化のタイミングを判断する際のチェックポイントを解説します。

チェックポイント①:利益水準が安定しているか

法人化によって税率が有利になるのは、個人の課税所得が概ね500万円を超えてくるあたりからです。売上や利益に大きな波がある場合、法人化してもメリットが限定的な可能性があります。

チェックポイント②:今後の売上増加が見込めるか

取引先が増えたり、事業が軌道に乗り始めた段階で法人化することで、節税効果を最大化しつつ、信用力の向上にもつながります。法人名義での契約や法人クレジットカードの発行が必要になる場合にも有利です。

チェックポイント③:インボイス制度への対応が必要か

免税事業者であっても、インボイス制度開始以降は取引先から適格請求書発行事業者(=課税事業者)としての対応を求められるケースが増加しています。これを機に法人化を選択する事業者様も少なくありません。

チェックポイント④:経費の幅を広げたいか

法人化によって認められる経費の範囲が広がるため、車両費、会議費、交際費、福利厚生費などを活用しやすくなります。事業に関係する支出が増えてきたタイミングでの法人化は非常に効果的です。

チェックポイント⑤:社会保険料のコントロールが必要か

個人事業主の国民健康保険・国民年金に比べて、法人化後の社会保険料は「報酬比例」で算定されます。収入と支出のバランス、家族の扶養状況なども加味して、社会保険の最適化を図るタイミングとして法人化を検討する価値があります。

法人化のタイミングは、単なる売上規模だけでなく、事業の成長性・支出構造・税制改正への対応など、さまざまな要因をもとに判断すべきです。税理士とのシミュレーションを通じて、貴社にとって最も有利なタイミングを見極めましょう。

法人登記から初年度決算まで|マイクロ法人の流れを税理士が解説

マイクロ法人の設立から初年度決算までの流れを正確に把握し、必要な手続きを漏れなく進めることは、法人経営の基盤づくりに直結します。税理士の立場から申し上げると、設立直後の段階でこそ、税務・会計の土台を整備しておくことが重要です。登記後の各種届出、青色申告の承認申請、初年度の決算スケジュール管理など、専門知識が求められる場面が多々あります。加美税理士事務所では、マイクロ法人の方々が安心して事業をスタートできるよう、設立から税務運営、初年度の決算対応まで丁寧にサポートしております。

法人登記の手続きと必要書類

マイクロ法人を設立するためには、法務局への「法人登記」が必要です。法人登記は、会社を設立するための最も基本的かつ重要なステップであり、これをもって法人としての法的効力が発生します。ここでは、法人登記の手続きと必要な書類を税理士の視点からわかりやすく解説します。

法人登記の流れ(合同会社を例に)

  1. 会社の基本事項の決定
  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 資本金額
  • 出資者(社員)とその出資比率
  • 代表社員の決定
  1. 定款の作成と認証(※株式会社の場合)
  • 合同会社は定款認証が不要のため、費用・手間を削減可能
  1. 資本金の払込
  • 出資者の個人口座に資本金を入金し、通帳コピーなどで証明
  1. 登記申請書類の作成
  • 後述の書類一式を準備し、法務局へ提出
  1. 法務局へ登記申請
  • 提出後、通常は1〜2週間程度で登記完了
  1. 登記完了後に法人番号が付与される

必要な書類一覧

  • 登記申請書
  • 定款(会社の基本ルール)
  • 本店所在地及び資本金の決定書
  • 就任承諾書(代表者などの就任承諾を証明)
  • 印鑑届出書
  • 資本金の払込証明書(通帳コピーなど)
  • 印鑑(会社代表印)
  • 登録免許税の収入印紙(合同会社:6万円)

登記にかかる費用(合同会社)

  • 登録免許税:6万円
  • 印鑑作成費:1万円前後
  • その他実費:約1万円〜

法人登記の手続きは一見シンプルに見えますが、商号の重複チェックや定款内容の整合性など、注意すべき点が多く存在します。税理士と連携しながら設立前の準備を進めることで、後々のトラブルを防ぎ、スムーズな法人化が実現できます。

設立後に必要な税務署への届出と手続き

法人登記が完了した後、会社として正式に事業を開始するには、税務署や地方自治体へ各種の届出を行う必要があります。これらの手続きを怠ると、税務上のトラブルや罰則の対象となることがあるため、必ず期限内に対応しましょう。ここでは、マイクロ法人の設立後に必要な主な届出書類と手続き内容を解説します。

税務署への主な届出書類

1. 法人設立届出書(提出期限:設立から2ヶ月以内)

法人の設立を税務署に通知する基本書類です。法人名、所在地、資本金、事業開始日などを記載します。

2. 青色申告の承認申請書(提出期限:設立から3ヶ月以内 または 第一期事業年度終了日までの早い方)

法人でも青色申告を行うには承認申請が必要です。青色申告により、欠損金の繰越控除や各種特典が受けられます。

3. 給与支払事務所等の開設届出書(提出期限:設立から1ヶ月以内)

役員や従業員に給与を支払う場合に提出が必要です。源泉所得税の納付義務が発生します。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(希望者のみ)

給与支払い人数が常時9人以下の小規模法人は、源泉徴収税額の納付を毎月ではなく半年ごとにできる制度です。

その他の提出先・届出

  • 都道府県税事務所:法人設立届出書
  • 市区町村(特別区):法人設立届出書
  • 年金事務所:健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • 労働基準監督署・ハローワーク:従業員を雇う場合は、労災・雇用保険の手続きが必要

書類の準備と提出方法

提出は原則として書面による持参または郵送が基本ですが、一部の書類はe-Taxなど電子申請にも対応しています。提出の際には、法人の登記事項証明書、定款、印鑑証明書などが求められる場合もあるため、事前に準備しておきましょう。

マイクロ法人の設立直後はやるべき手続きが多く、初めて法人を立ち上げた方にとっては煩雑に感じられることもあるでしょう。顧問税理士に相談しながら、適切な書類作成と期限内の対応を行うことで、スムーズな法人運営の第一歩を踏み出すことができます。

初年度決算までのスケジュールと注意点

マイクロ法人を設立した後、最初に迎える「初年度決算」は、法人運営の基本となる大切な手続きです。決算は会社の経営成績と財務状況を明らかにするだけでなく、法人税の申告・納付にも直結します。ここでは、初年度のスケジュールと押さえておくべき注意点を税理士の視点で解説します。

初年度の決算スケジュールの基本

1. 事業年度(会計期間)の決定
  • 法人設立時に自由に設定可能。
  • 一般的には「設立日から1年以内」で設定(例:4月1日設立 → 翌年3月31日まで)。
2. 決算月の到来
  • 決算月が到来すると、帳簿を締めて決算書(貸借対照表・損益計算書など)を作成。
  • 会計ソフト(freeeやマネーフォワードなど)を使うことで効率化が可能。
3. 法人税等の申告と納付(決算日から2ヶ月以内)
  • 決算日の翌日から2ヶ月以内に、法人税・消費税・地方税の申告・納付が必要。
  • 税理士に依頼する場合は、1ヶ月前にはデータをまとめて相談を始めましょう。

初年度特有の注意点

設立初年度は事業期間が1年未満になる場合が多い
  • 設立日〜決算日までの期間が短いと、減価償却や租税公課の取り扱いが通常と異なることも。
青色申告の承認申請書の提出期限に注意
  • 初年度に間に合わないと、白色申告となり節税メリットが受けられなくなるため、設立後すぐの提出が重要。
消費税の免税期間
  • 原則として、設立から2期は消費税の免税事業者。
  • ただし、資本金1,000万円以上の場合や届出書の提出によって変動するため、事前確認が必須。

決算は法人運営の節目であり、税務処理の集大成でもあります。特に初年度は提出期限の把握と、正確な会計処理が必要不可欠です。税理士としっかり連携を取り、スケジュールを逆算して早めに準備を進めましょう。

マイクロ法人におすすめの役員報酬設計とは?節税との関係性

マイクロ法人を経営するにあたり、役員報酬の設計は「税金対策」と「社会保険料の最適化」を同時に実現するための極めて重要なポイントです。適切な報酬額の設定には、法人税・所得税・社会保険料の三位一体でのシミュレーションが欠かせません。税理士としての立場から申し上げると、この報酬設計は単なる節税テクニックではなく、経営戦略の中核を担う意思決定です。加美税理士事務所では、マイクロ法人の事業者様に対し、法人・個人を一体で捉えた報酬最適化のご提案を行っております。

役員報酬の適切な設定方法とその根拠

マイクロ法人における「役員報酬の設計」は、節税・社会保険・資金繰りに密接に関わる極めて重要な経営判断です。適切に設定すれば、法人と個人のトータルでの税・社会保険料負担を軽減できます。ここでは、税理士の立場から、役員報酬の適正な決定方法とその根拠をわかりやすく解説します。

なぜ役員報酬の設計が重要なのか?

役員報酬は、法人にとっては「損金(経費)」として計上できるため、法人税を抑える手段になります。一方、役員個人には「所得」として課税されるため、報酬が高すぎると個人の所得税や社会保険料が増えてしまいます。

つまり、「法人の利益を減らしすぎない」「個人の所得を増やしすぎない」というバランスの取れた設計が必要です。

役員報酬の決定時に考慮すべき3つの視点

1. 法人税と所得税のトータル最適化

役員報酬が少なすぎると法人利益が増え法人税が上がります。多すぎると、個人の所得税が高くなり、社会保険料も増加します。トータルの納税額を最小化できるラインを見つけるには、税理士のシミュレーションが不可欠です。

2. 「定期同額給与」の原則を守る

税務上、役員報酬は「毎月同額」でなければ損金として認められません。たとえば、事業年度開始時に月30万円と定めたら、原則として毎月30万円を継続支給する必要があります。

3. 社会保険料の影響も要チェック

役員報酬が増えると、厚生年金・健康保険料が上がります。これらは法人と個人で折半するため、報酬額の増減が社会保険料負担に直結します。

報酬設計の具体的な進め方

  1. 前年度の決算から法人の利益見込みを算出
  2. 所得税・法人税・社会保険料を比較シミュレーション
  3. 事業年度開始前に株主総会または取締役会で報酬を決定
  4. 書面(議事録等)を残し、毎月同額で支給

役員報酬の設計は、単なる給与額の決定ではなく、「税務戦略そのもの」と言っても過言ではありません。報酬額の決定は毎年一度のタイミングしかなく、失敗するとその年度の節税チャンスを逃すことにもなります。マイクロ法人に特化した税理士と連携し、最適な報酬設計を実現しましょう。

役員報酬と法人税・所得税のバランス最適化

マイクロ法人の節税対策において、法人税と個人の所得税・住民税・社会保険料の「全体最適」を考えることが重要です。役員報酬の設定は、そのバランスを取るためのカギとなります。ここでは、税理士の視点から役員報酬を通じた法人税・所得税の最適化について解説します。

なぜバランスが重要なのか?

  • 法人に利益を残しすぎると、法人税が増加。
  • 個人に報酬を出しすぎると、所得税や社会保険料が急増。

つまり、報酬の設定が片方に偏ると、かえってトータルの税負担が増える可能性があるため、法人と個人の税率構造を理解し、最適化する必要があります。

税率の仕組み(概略)

区分税率
法人税(中小企業・年800万円以下)約15%
法人税(年800万円超)約23.2%
所得税5%〜45%(累進課税)
住民税一律10%程度
社会保険料報酬比例(法人・個人で折半)

報酬を増やすと法人税は減少しますが、同時に個人側の負担が増えるため、シミュレーションによる調整が必須です。

最適化の方法

1. 年間所得が課税所得695万円未満を意識

所得税の税率は695万円を境に23%→33%へと上昇します。このラインを超えないように報酬を抑えることで、税率の上昇を防げます。

2. 法人税率の分岐(800万円)も考慮

法人に残す利益を800万円以下に抑えることで、低い法人税率を維持する戦略も有効です。

3. 社会保険料の負担も確認

社会保険料は報酬に比例して増加します。報酬を増やすことで法人・個人ともに保険料負担が増えるため、保険料率や扶養の状況も含めた試算が必要です。

税理士によるシミュレーションの活用

税理士が提供する「法人・個人合算シミュレーション」によって、報酬額ごとの税・社保の総負担を可視化し、最も効率的なポイントを見極めることが可能です。

報酬の金額設定は、単なる収入設計ではなく、税と社保を戦略的にコントロールする手段です。年に1度の報酬見直し時期には、必ず税理士と相談し、最適な設計を行うことをおすすめします。

役員報酬設定における注意点と落とし穴

マイクロ法人において、役員報酬の設定は節税効果を生む一方で、設定方法を誤ると税務上のトラブルや損金不算入といった不利益を被る可能性があります。ここでは、役員報酬の設計に際して見落としやすい注意点や、税理士として実際に見かける“落とし穴”を解説します。

注意点①:定期同額給与の原則

法人税法上、役員報酬が「定期同額」でなければ損金として認められません。定期同額給与とは、事業年度を通して、毎月同じ金額を継続的に支給する形を指します。期中に金額を変更すると、変更後の報酬が損金にできなくなる可能性があります。

例:

  • × NG:期の途中で報酬を月30万円→20万円に変更
  • 〇 OK:事業年度開始前に報酬を30万円に決定し、毎月同額で支給

注意点②:報酬ゼロは原則NG

役員報酬をゼロにして社会保険に加入しないという手法がネット上で見かけられますが、これは税務署や年金事務所から問題視されやすいグレーな対応です。実態として代表者が業務に従事している以上、適正な報酬設定が求められます。

注意点③:過大報酬は損金否認のリスク

業務実態や法人の収益規模から著しく逸脱した高額報酬は、「過大役員報酬」として損金不算入となることがあります。報酬額に妥当性があるか、第三者基準で検討しましょう。

注意点④:役員報酬と配偶者控除・扶養の関係

報酬額が一定を超えると、配偶者控除が受けられなくなる、または扶養の範囲外になる可能性があります。家族の収入設計を含めてトータルで調整が必要です。

注意点⑤:報酬設定に関する社内決議・書類保存

税務調査の際には、役員報酬をどのように決定したかが問われます。株主総会議事録や取締役会議事録、報酬決定書類などを整備しておくことで、正当性を証明できます。

役員報酬の設定は、単なる給与額の決定ではなく、法人と個人の税務戦略・社会保険・家族構成すべてを踏まえた総合設計です。税理士と協力し、形式と実態の両面から適正な報酬設計を行いましょう。

FAQ よくあるご質問

マイクロ法人の税務に関してよくいただくご質問を税理士の視点からまとめました。

マイクロ法人を設立するメリットは何ですか?

マイクロ法人の設立には、以下のようなメリットがあります:

  • 社会的信用の向上:法人化することで、取引先や金融機関からの信用が高まり、ビジネスチャンスの拡大が期待できます。
  • 節税効果:役員報酬の支給や経費計上の幅が広がることで、所得税や法人税の負担を軽減できる可能性があります。
  • 資金調達の容易化:法人名義での融資や補助金の申請が可能となり、資金調達の選択肢が広がります。

法人化のメリットについては下記のページでさらなる解説をしています。

マイクロ法人の設立で節税効果は期待できますか?

適切な節税対策を講じることで、節税効果が期待できます。ただし、具体的な効果は事業内容や収益状況によって異なるため、専門家に相談することが重要です。個人事業主のままでも青色申告を最大限活用するなどして節税対策をすることはできます。それを上回るメリットがあるとわかったタイミングで法人化するのがおすすめです。

個人事業主の青色申告およびマイクロ法人化前後の節税対策については下記のページで詳解しています。

マイクロ法人の設立後、消費税の納税義務はいつから発生しますか?

通常、設立から2期目までは消費税の納税義務が免除されます。ただし、資本金1,000万円以上の場合や特定の条件を満たす場合は、初年度から納税義務が発生することがあります。

マイクロ法人と消費税については下記のページで詳しく解説しています。

マイクロ法人にも税務調査は行われますか?

はい、マイクロ法人であっても税務調査の対象となることがあります。適切な会計処理と税務申告を行うことで、リスクを低減できます。

マイクロ法人化前後(個人事業主時代も含みます。)の税務調査対策については下記のページで詳しく解説しています。

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